2025.09.17

兵庫県漁業協同組合 長尾工場長インタビュー

辻 博志
Author 辻 博志

こんにちは。兵庫県明石市でスライサー、カッター、成型機などの製造販売を行っているアサヒ産業の辻と申します。

今回は、2001年から20年以上、アサヒ産業のミニマルチスライサーをご利用いただいている、兵庫県漁業協同組合連合会 水産加工センターの工場長を務める長尾様に、長年ミニマルチスライサーを使い続ける理由、商品開発、効率化などについてお話頂きました。

【ミニマルチスライサー23年間の導入成功事例】

●導入機械/ミニマルチスライサー(MKシリーズ)

漁業を支える総合的な事業展開

2006年に兵庫県漁業協同組合連合会に入りまして、現在は流通加工部の水産加工センターで工場長を務めております。工場長という立場だけでなく、商品開発担当も兼務しており、新商品の企画から製造まで幅広く携わっております。

私たち兵庫県漁業協同組合連合会は「漁師さんのために何かお手伝いできることはないですか?困ったことはないですか?」というスタンスで事業を行っております。漁業というと、一般の方は食べる魚や海産物を扱っているところなのかなという印象をお持ちかもしれませんが、それだけではなく、漁業にまつわる様々な業務を支える大変重要な役割を担っております。

特に水産加工センターは、魚が思ったより多く獲れて浜値が下がってしまった時に、漁師さんが困らないよう、私たちがその魚を買い取って加工し、付加価値をつけて販売するという重要な役割を担っております。これが元々のコンセプトで、この水産加工センターが立ち上がったんです。

 

23年間の信頼実績:ミニマルチスライサーの活躍

2001年からアサヒ産業さんのミニマルチスライサーを導入し、現在まで23年間にわたって活用させていただいております。この長期間の使用実績が、機械の信頼性と耐久性を物語っていると思います。私は2006年に入社しましたので、機械は私より先輩ということになりますね。入社した時にはもうすでに稼働していて、先輩方から使い方を教わって今に至ります。

2001年に姫路のこちらの工場に移転してから本格的な大量生産体制が整い、ミニマルチスライサーがその中核を担ってきました。
現在は主にタコの加工に使用しており、多彩な商品を製造しております。茹でたタコを商品に応じて5ミリ、1センチのスライスなど、厚さを自在に調整して対応できるのが大きな特徴です。繁忙期や閑散期に関係なく、ワンロットという考え方で作業しており、機械を遊ばせたくないという考えもあって、2000パック作るよりも5000パック回しましょうという効率的な運用をしております。

独自開発の「花しゃぶ」

独自商品開発を可能にする多機能性

茹でたタコをミニマルチスライサーに通してカットしているのですが、商品に応じて1cmスライスでカルパッチョ用、5mmスライスでタコ飯用と、商品ごとに分けてスライスしています。看板商品が「花しゃぶ」です。これは当組合の独自商品名で、タコをお湯にくぐらせると花が咲いたように広がるようになっています。完全に切り落としてしまわずに、刃と刃の間にもう一つ小さい刃が付いていて、それで切れ目をどんどん入れていくんですよ。冬場のお鍋シーズンには特に人気が高く、そのまま袋に入れて急速冷凍して出荷しています。この商品はミニマルチスライサーの特殊機能なしには実現できませんでした。

最近では「明石ダコのキムチ漬け」という新商品も開発しました。これは生のタコを使用したもので、スライスの薄さや幅なども私が試作を重ねながら決めさせていただきました。1 cmなのか2 cmなのか、食感を確認しながらミニマルチスライサー最適な厚さを決定していく流れで商品化しました。

これらの商品は、ミニマルチスライサーの設定機能があってこそ実現したもの。刃の高さや間隔を自由に調整できるから、作りたい商品に合わせて柔軟にアレンジできるのが素晴らしい点ですね。機能を見ながら、「この切れ方ならこの商品作れるんじゃないか」というアイデアも生まれます。

圧倒的な生産効率の実現

処理能力については本当に驚異的だと思います。1時間あたり100kgのタコ処理できます。1日だと300 kgから400 kg程度。だいたい半日ぐらいの作業で、これだけの量を処理できるんですよ。しかも、2人体制で効率的な作業が完結してしまう。ミニマルチスライサー入り口と出口に人を配置するだけで、かなりの生産量をこなせるということですね。

人間が包丁で切る場合を考えてみてください。タコの足1本を包丁で切るのに、慣れている人でも大体1分から2分かかると思うんですよ。ところがミニマルチスライサーだと3秒で終わるんです。約20倍の作業効率が上がったわけですね。100 kgを1日300 kg処理するとなると、手作業では何日かかるんだろうという世界ですよね。

特に海産物は鮮度管理が重要で、迅速な処理が求められます。滞留すると菌が増えたりしてしまいますから、そこをいかにスピーディーに進めていくかというところでは、すごく適した機械だなと思います。滞留時間を最小限に抑え、スピーディーに加工を進められることで、品質の高い商品を安定して供給できています。

タコは魚と違って非常に切りにくい食材です。茹でてあるものでも切りにくいのに、生のものなんかは全然きれいに切れません。形も複雑ですしね。そういった難しい食材でも、機械なら均一できれいに処理できるのが大きなメリットです。

処理時間も劇的に短縮されました。品質も安定化し、商品バリエーションも拡大できました。手作業では到底対応できない量を効率的に処理できています。人間でやると大変なことになりますから、お金だけじゃなくて時間も大幅に短縮できるんです。せっかくタコがたくさん水揚げされても、処理できなければ意味がありませんよね。ミニマルチスライサーがあることで、漁師さんからの信頼も得られ、安定した取引関係を維持できています。

優れた操作性と安定性

機械の操作は非常にシンプルで、コンベアのスピードや刃の回転も細かく調整できるため、様々な商品要求に対応できます。23年間使用していて「これができない」ということは一度もありませんでした。この安定性と信頼性が、長期間にわたって愛用している最大の理由です。

一番気に入っている点は、危険な刃物がたくさん付いている機械でありながら、組み立てや操作が比較的安全に行えることです。実際に作業が始まれば、安全に効率よく作業ができるよう設計されているなと感じます。

万全のアフターサポート体制

ミニマルチスライサーにチェーンやモーターなどの駆動部分があるのですが、異音が発生した際も、迅速に対応していただき、その日のうちに修理が完了。2年ほど前にも一度修理をお願いしました。アサヒ産業さんに連絡したところ、この時もすぐに駆けつけてスピーディーに対応していただきました。1時間に100kgこなせる機械が止まってしまうと、半日も待たされたら大変なことになりますが、そういうことはありませんでした。

20年以上前の機械にも関わらず、部品の供給も問題ありません。シンプルな部品を使っているので、長生きしている製品だということをアサヒ産業さんの社員の方もよく分かっておられますよね。対応する部品も「これですね」という感じで適切に持参していただけます。シンプルで堅牢な設計のおかげで長期間安定して稼働しています。

多様な応用可能性

ミニマルチスライサーは、タコだけでなく様々な食材に応用できます。以前、赤イカという大きなイカの筋切り作業の活用を考え、デモ機をお借りして試験を行いました。赤イカはミサイルみたいな形をした非常に大きなイカで、身が分厚くて軟骨部分も固いので、筋切りすることで食感が良くなるんです。イカの天ぷらを作ろうとした時に、切れ目を入れると油で揚げても柔らかい食感のまま仕上がるということで試してみました。

魚介類だけでなくお肉の筋切りにも使えるでしょうから、汎用性は高いでしょう。とんかつ用肉の筋を切って食感を良くするという作業にも応用できそうですよね。
設定の自由度が高く、表面にだけ切れ目を入れたい場合や、完全にスライスしたい場合など、様々なニーズに対応できる柔軟性があります。設定がいくらでもあるから、いろんな用途に使えるんじゃないかな。

直営店「漁連の魚屋」

品質の安定性と販路拡大

均一なスライス幅で素早く処理できるから商品の品質が安定して、お客様からの信頼も厚くなりました。手作業では実現できない精密さで、プロフェッショナルな仕上がりを提供できています。
高品質で安定した商品供給が可能になって、お取引先との信頼関係を構築できました。特にパルシステム(生協)さんには継続的に出荷させていただいており、組合員の皆様にもご愛用いただいております。

また、当組合直営店「魚屋」でも人気商品として販売しており、地域のお客様にも愛されています。兵庫県の三田市と加古川市に直営店を構えており、漁連の直営店ということで品質や鮮度は「絶対間違いない!」ということで、たくさんのお客様がいらっしゃいます。例えば7月は半夏生ということで、タコを食べる人が増える時期なんですが、特によく売れますね。明石ダコは日本だけじゃなくて、海外の方でもわざわざ明石まで来られるぐらい有名なブランドです。ブランド力を活かした商品を安定供給するためには、ミニマルチスライサーは欠かせません。関西の方は食べ物に対するこだわりが強くて「この季節になったらこれを食べなあかん」みたいな文化があります。そういった期待に応えるためにも、品質の安定した商品を提供し続ける必要があります。

多用途への対応と長期信頼性がおすすめポイント

水産加工業の同業者の方にも、ぜひお勧めしたいと思います。まずは多用途に対応できるということ。様々な魚介類に使えますし、独自の商品開発ができれば、他社との差別化が図れます。大量処理能力は事業拡大に繋がりますし、品質の安定は顧客満足度も向上します。そして何より、私たちのように20年以上使える長期信頼性があります。

特に、ある程度の処理量がある事業者様には、投資効果を十分に実感できると思います。

同じような水産加工業の会社で、ミニマルチスライサーの導入を検討している会社があるとしたら、いろんなことに使えるということを一番お勧めしたいです。当組合が開発した「花しゃぶ」のように、特殊な加工にも対応してくれますし、タコやイカ、魚に切れ目を入れることにも使えます。刃の高さも自由に変えられるので、表面にだけ切れ目を入れるなど、作りたい商品に合わせてアレンジができるということですね。

継続的なパートナーシップ

アサヒ産業さんとは23年間にわたる長いお付き合いをさせていただいており、今後も継続して様々なアイデアやソリューションをご提案いただけることを期待しております。長きにわたって使わせていただいて、本当にありがたく思っております。

明石ダコは漁獲量が減って貴重な資源となっていますが、この商品が消えることはありませんので、今後も品質の高い商品を安定して供給していくために、ミニマルチスライサーは欠かせない存在です。今後、設備の更新や追加導入があれば、またアサヒ産業さんにお願いしたいと思っております。いろんなアイデアを「こんなこともできますよ」という形で紹介していただけたらありがたいですね。これからもよろしくお願いいたします。

【兵庫県水産会館(本所)】
〒673-0883
兵庫県明石市中崎1丁目2-3 兵庫県水産会館内
●公式サイト
http://www.hggyoren.jf-net.ne.jp/Profile/Location.html
●兵庫県漁業協同組合ネットショップ
https://www.seat-sakana.net/shop/
●兵庫県漁業協同組合直営店 漁連の魚屋
https://www.seat-sakana.net/sakanaya/

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